観葉植物を育てていると、幹や枝からひょろっと根のようなものが出てきて驚いた経験はありませんか。
その正体は「気根」と呼ばれるもので、植物が成長しようとする自然な姿です。
気根が出る理由は何ですか、という疑問は多くの方が抱きますが、その答えは植物の生存戦略に隠されています。
この記事では、そもそも気根とは何かという基本的な知識から、人気のモンステラやガジュマル、ウンベラータにおける気根の役割までを詳しく解説します。
さらに、ガジュマルの気根を太くする方法や、気根の増やし方、モンステラの気根から株を増やすテクニック、もし誤って気根を切ってしまった場合の対処法についても触れていきます。
気根との上手な付き合い方を学び、観葉植物の魅力をさらに深めていきましょう。
この記事を読むことで、観葉植物の気根に関する以下の点が明確になります。
- 気根が発生する根本的な原因
- ガジュマルやモンステラなど代表的な植物の気根の特徴
- 気根を健康に育てるための具体的な管理方法
- 気根に関する一般的な疑問点や対処法
観葉植物の気根が出る理由は?

- そもそも「気根とは?」
- 空気中の水分や酸素を吸収する役割
- 体を支えるための重要な役割
- 代表的な気根ガジュマル
- 人気のモンステラと気根の関係
- 気根はウンベラータにも生える
そもそも「気根とは?」

気根(きこん)とは、その名の通り、植物の地上部(幹や枝)から発生し、空気中に伸びていく根のことを指します。
本来、根は土の中に伸びるものですが、一部の植物は土壌外の環境に適応するため、このような特殊な根を発達させます。
主に熱帯地域が原産の植物に多く見られる特徴で、日本の気候でも、特に梅雨時期などの湿度が高い環境で発生しやすくなります。
気根は病気や異常ではなく、むしろ植物が元気に成長し、周囲の環境に適応しようとしている健全なサインと捉えることができます。
これらの気根が持つ役割を理解することが、観葉植物をより健康に育てるための第一歩となります。
空気中の水分や酸素を吸収する役割

気根が持つ最も基本的な役割の一つが、空気中からの水分や酸素の吸収です。
多くの観葉植物の原産地である熱帯雨林は、年間を通じて高温多湿な環境です。
このような場所では、空気中に豊富な水分が含まれているため、気根を伸ばして効率的に水分を取り込みます。
また、土の中が過湿状態になり、根が十分に呼吸できなくなる「根腐れ」のリスクを回避する役割も担います。
土壌の酸素が不足した場合でも、気根が空気中から直接酸素を吸収することで、植物全体の生命活動を維持するのです。
したがって、鉢植えの土が常に湿っている状態や、根詰まりを起こしている状態では、植物が酸素を求めて気根を発生させることがあります。
体を支えるための重要な役割

気根は、水分や酸素の吸収だけでなく、植物自身の体を物理的に支える「支柱」としての役割も果たします。
特に、つる性の植物や大きく成長する樹木にとって、この機能は生存に不可欠です。
例えば、モンステラのようなつる性植物は、気根を他の樹木や岩に絡ませることで、上へ上へと体を伸ばし、より多くの光を受けようとします。
また、ガジュマルのように大きく成長する樹木は、幹や枝から出した気根を地面に到達させ、新たな根として土に定着させます。
これがやがて太い幹のようになり、巨大な樹冠を支える「支柱根」へと変化していくのです。
このように、気根は植物が自身の体を安定させ、成長を続けるための重要な構造体と言えます。
代表的な気根ガジュマル

ガジュマルは、観葉植物の中でも特に気根が特徴的な種類として知られています。
幹の途中から何本も垂れ下がる独特の姿は、ガジュマルの大きな魅力の一つです。
ガジュマルの気根は、最初は細い糸のようですが、成長して地面に到達すると、そこから水分や養分を吸収し始め、次第にぷっくりと太くなっていきます。
この太くなった気根が複雑に絡み合い、タコ足のように見えることから、ガジュマルは「多幸の木」という縁起の良い別名でも呼ばれています。
鉢植えで育てている場合、気根は必ずしも必要ではありませんが、生命力あふれるユニークな樹形を楽しむためには、気根を大切に育てていくのがおすすめです。
人気のモンステラと気根の関係

切れ込みの入った美しい葉が人気のモンステラも、気根がよく発達する植物です。
モンステラの気根は、主に体を支えるために発達します。
原産地の熱帯雨林では、他の樹木に絡みつきながら上へと成長していくため、そのための支えとして気根が重要な役割を担っています。
モンステラの気根は、ガジュマルのように太くはなりませんが、茶色く硬い丈夫な根が茎の節から伸びてきます。
鉢植えの場合、気根が鉢の外に長く伸びてしまい、見た目が気になることもあるかもしれません。
しかし、これはモンステラが元気に成長している証拠です。
伸びすぎた気根は管理も可能ですが、基本的には植物の成長を助けるものとして見守るのが良いでしょう。
気根はウンベラータにも生える

ハート型の大きな葉で人気のフィカス・ウンベラータも、環境によっては気根を出すことがあります。
ウンベラータの気根は、ガジュマルやモンステラほど太く、たくましくはなりませんが、幹や枝の途中から細い根が伸びてくることがあります。
これは主に、鉢内の湿度や土の状態に応じた反応と考えられます。
例えば、土が乾燥気味の状態で管理していると、土中から吸収しきれない水分を補うために、空気中の湿度を取り込もうとして気根が発生することがあります。
また、根詰まりを起こして根の呼吸が妨げられている場合にも、酸素を求めて気根を出すケースが見られます。
ウンベラータから気根が出てきたら、水やりの頻度や植え替えの必要性など、現在の育成環境を見直す良い機会かもしれません。
植物の種類 | 気根の主な役割 | 特徴 |
ガジュマル | 株の支持、水分・養分吸収 | 地面に達すると太くなり、幹のように変化する |
モンステラ | 体の支持(登はん)、水分吸収 | 他の物に絡みつくための支柱として発達する |
ウンベラータ | 水分・酸素の補助的吸収 | 比較的細く、主に土壌環境への適応として発生する |
管理方法も解説!気根が出る理由は?

- ガジュマルの気根を太くする方法
- ガジュマルの気根の増やし方とは
- モンステラの気根から増やす方法
- モンステラの気根を切ってしまったら?
- まとめ:気根が出る理由は何ですか?
ガジュマルの気根を太くする方法

ガジュマルの魅力である太い気根を育てるには、いくつかのコツがあります。
最も効果的で簡単な方法は、伸びてきた気根の先端を土に誘導し、そのまま埋めてあげることです。
土の中に誘導された気根は、地中の根と同じように安定して水分や養分を吸収できるようになり、成長スピードが格段に上がります。
土への誘導方法
- 伸びてきた気根の先端を、傷つけないように優しく曲げ、鉢の土に向けます。
- U字にした針金などを使って、気根が土から浮き上がらないように軽く固定します。
- 気根の先端が土に埋まったら、通常の水やりを続けます。
湿度を保つ方法
もう一つの方法は、気根の湿度を高く保つことです。
気根をラップや湿らせた水苔で優しく包むことで、土の中と似た環境を作り出し、成長を促します。
ただし、この方法は通気性が悪くなりがちで、カビや根腐れの原因になる可能性もあるため、上級者向けと言えます。
時々ラップを外して状態を確認するなど、注意深い観察が求められます。
ガジュマルの気根の増やし方とは

ガジュマルの気根を新たに発生させ、数を増やしたい場合は、生育環境、特に「湿度」と「温度」を意識することが鍵となります。
ガジュマルは高温多湿の環境を好むため、日本の季節では梅雨から夏にかけてが最も気根が出やすい時期です。
気根を増やすためには、湿度を常に80%以上に保つのが理想的とされています。
室内で管理している場合は、毎日1〜2回、霧吹きを使って葉だけでなく幹や枝全体が濡れるように「葉水」を与えましょう。
これにより、幹周りの湿度が保たれ、気根の発生が促されます。
また、気温も25℃以上の暖かい場所で管理することで、ガジュマルの成長が活発になり、気根も出やすくなります。
夏場は、直射日光が当たらない明るい屋外で管理すると、自然の雨や高い湿度によって、たくさんの気根が伸びてくることが期待できます。
モンステラの気根から増やす方法

モンステラは、気根を利用して簡単に株を増やすことができます。
これは「挿し木」と呼ばれる方法で、気根がついていることで発根がスムーズに進み、成功率が高まります。
挿し木の手順
- カットする場所を選ぶ: 葉が1〜2枚ついていて、節から元気な気根が伸びている部分を選びます。
茎にある「成長点」という少し膨らんだ部分を必ず含めるようにしてください。 - 茎をカットする: 清潔なハサミやカッターで、選んだ部分を切り取ります。
- 水に挿す(水挿し): 切り口を水に浸けられる容器に入れ、明るい日陰で管理します。
気根も水に浸けて問題ありません。
定期的に水を替えながら、新しい根が伸びてくるのを待ちます。 - 土に植える: 新しい根が十分に伸びてきたら、観葉植物用の土に植え替えます。
気根がついていることで、植物が水分を吸収しやすく、土に植えた後も安定した成長が期待できます。
モンステラの気根を切ってしまったら?

モンステラの気根が伸びすぎて見栄えが悪くなったり、置き場所の邪魔になったりすることがあります。
このような場合、気根を切ってしまっても、モンステラ本体の生育に直接的なダメージを与えることはほとんどありません。
気根を剪定する場合は、必ず清潔なハサミを使用し、幹の付け根から切り取るようにしましょう。
中途半端な位置で切ると、切り口から傷んでしまう可能性があります。
ただし、前述の通り、気根は株を支えたり、水分を吸収したりする重要な役割を持っています。
特に、株が大きくなって不安定になっている場合や、将来的に支柱を立てて誘引したいと考えている場合は、気根を切らずに残しておく方が植物のためになります。
切るかどうかは、植物の状態や今後の育て方を考慮して慎重に判断するのが良いでしょう。
まとめ:気根が出る理由とは?

観葉植物から気根が出てくるのは、植物が環境に適応しようとする自然な現象です。
その理由と管理方法について、最後に重要なポイントをまとめます。
- 気根は土の上に出る根のこと
- 病気や異常ではなく健康な成長の証
- 主な役割は空気中の水分や酸素の吸収
- もう一つの重要な役割は植物体を支えること
- 熱帯原産の植物に多く見られる特徴
- ガジュマルの気根は株を支える太い根に成長する
- モンステラの気根は体を支えながら登るために使う
- ウンベラータの気根は土壌環境への適応として出やすい
- 気根の発生は湿度や温度、土の状態が影響する
- ガジュマルの気根を太くするには土への誘導が効果的
- ガジュマルの気根を増やすには高い湿度と温度を保つ
- モンステラは気根のついた茎で増やすことができる
- 伸びすぎた気根は根元から剪定しても基本的に問題ない
- 気根の状態は植物の健康状態を知るバロメーターになる
- 気根を理解し、植物との暮らしをより豊かにしよう